2020年02月09日
ダイワ 20ルビアス ~18イグジスト 19セルテートとの違い~(フィッシングショー大阪2020)

5年ぶりのフルモデルチェンジでLT化され、“ザイオンモノコックボディ”になったこともあって注目度も抜群です。
20ルビアスの基本的なスペックについては少し前に書いた2つの記事(その1、その2)もありますし、色々な方が記事をUPされているので、今回は20ルビアスの“構造”について“私独自の視点”で書いていきたいと思います。
長文になっていますので、お時間があればお付き合い下さい(笑)
まずブースで手にした瞬間に感じたことは、1000番ボディのFCモデルは、手に持った瞬間「めっちゃ軽い!」と思いましたが、昨今スピニングリールの重さが全体的に軽くなってきていることもあってか、無印のモデルは「まぁまぁ、軽いな」という位の印象でした^^;
もともとリールの重さにについてはそれほどこだわりが無い部分ですが、“慣れ”というのは怖いものですね(笑)
ハンドルノブの回転は19セルテートと同じように渋いので、ウェーブワッシャーによってガタの調整をしているものと思われます。

やはり雑誌に掲載されていた写真は“ローターナットベアリングが無いプロトタイプ”だったようで、製品版は“リニアシャフト”になっています。
スプール受けの部分は19セルテートと同様にプラスチックのカラーになっているので、ベアリングに交換可能です。
交換の手順についてはコチラの記事を参照して下さい。
スプール形状については、カルディアやバリスティックと同じで“SLPWのタイプαスプール”と互換性があるタイプです。
イグジスト・セルテートとは異なっているところが“中位機種”という位置付けなのでしょうが、スプールの構造はほとんど同じですし、何より替えスプールが安いのは良いことです(笑)

20ルビアスは“モノコック構造”になり、ザイオンのボディに直接ねじ山が切られ、エンジンプレートをねじ込めるようになっています。
ドライブギアについては、15ルビアスとの比較では2500番において7%大径化されており、ギア強度も従来比177%と大幅に向上しています。
ギアの幅も大きくなり、山の数も増えているので、噛み合わせる部分が大きくなり耐久性もあがっているようです。
ドライブギアは冷間鍛造の超々ジュラルミンで、マシンカットまでは施されていません。
18イグジストや19セルテートはのギアは、“マシンカットタフデジギア”となっていますが、20ルビアスのギアが“タフデジギア”と表記されているのはその為です。
ただ“マシンカット”と言っても、更に精度を高めるためファイバーフローを損なわない程度に、表面の極僅かな部分を最後の仕上げとしてのマシンカットだそうです。
言い換えれば、冷間鍛造後にほぼ求める精度は出ているので、「高付加価値をつける為にコストを掛けてマシンカットしていたけど、価格を抑えなきゃならんから、ここはやめとこか」という話になったと思われます・・・「ギアは削らずコストを削る」と言ったところですね(笑)
自動車の設計なんかはネジを1本でも少なくしてコスト削減につなげているので、イグジスト・セルテートと20ルビアスの価格差を考えると色々な部分でコストダウンされていることは容易に推察できます。

内部のリブの位置を見ただけでも、セルテートはよりボディが歪み難いように設計されているのがわかります。
メタルボディのイグジストやセルテートと比べて、ザイオンボディのルビアスは後ろが出っ張った形をしていますので、その理由を聞いてみましたが、「デザイン上のもので・・・」と少しお茶を濁したような答えが返ってきました^^;
我ながらちょっとイジワルな質問をしてしまったなぁと思いましたが、セルテートのように細く作ってしまうとと、樹脂ゆえに割れてしまうリスクを抱えることになり、強度を確保する為に後ろが出っ張った作りになったのではないかと勘ぐっています(笑)
その点を除けばイグジストとルビアスは一見似ていますが、オシレーティングの構造が異なっています。
パーツが入っていれば一目瞭然なのですが、画像がないので言葉だけで説明しておくと、イグジストはオシレーティングポストがメインシャフトの下にありますが、ルビアスは上(リールフット側)にあります。
19セルテートでオシレーティングポストをリールフット側に動かしたので、ルビアスはセルテートの設計思想を踏襲していると思われます。
ちなみにオシレーティングポストがリールフット側にあると、その分重心が手元に寄るので、シマノの“Gフリーボディ”と同じような効果が期待できます。
3つのボディを見比べて気になったのが、“ボディ右下にある開口部”です。
イグジストとセルテートには丸い穴が開いていますが、セルテートはイグジストより小さな穴になっています。
ボディ全体の剛性を考えると穴は小さい方がいいに決まっていますが、ルビアスについては結構大きな穴が開けられています。

右側は15ルビアスのボディですが、この穴が開いている部分に相当するところに出っ張りがあり、ここにオシレーティングギアの軸が入ります。
20ルビアスではこの穴の裏側にセットプレートを当てることによって、そこでオシレーティングギアを保持するようになっています。

ただ、イグジストのセットプレートはマグネシウムではなく、わざわざ“アルミ”にしているんですよね・・・
これがボディ剛性や耐久性にどれほど影響するのかはわかりませんが、軸が収まるところなので金属の方がより安定させられることは間違いないでしょう。
とは言え、15ルビアスもザイオンのボディで保持していたので、気にするような点ではないのかもしれませんが、こういうところにもイグジストやセルテートとの違いがあるということが分かりました。
ちなみにルビアスの穴が大きいのは「大きく開いていれば、裏から作業することも出来るから」だそうで、“生産性の向上”が最大の理由のようです。
ボディひとつを取って見ても、ルビアスを低価格で販売する為に技術者達が試行錯誤したのがよく分かりますね(笑)
またこのザイオンのセットプレートが入ることで、左右非対称のデザインになっていて、これはこれでセクシーです(笑)
リールの後ろ側についても出っ張りがあるので、イグジストやセルテートの“カタツムリ”のような形ではなく、モノコックボディでも少し違った印象を受けます。
デザイン面では「こっちがいい!」という人も少なくないと思いますし、定価も安めで割引率も高いので“コストパフォーマンスが非常に高いリール”であることは疑う余地がありません。
無負荷での巻き心地は、私の感度ではセルテートとの違いが全く分かりませんでした(笑)
ブースでは負荷を掛けた状態でも試させてもらいましたが、20ルビアスの方が15ルビアスに比べて確かに力強く巻けるのですが、一昨年のイグジスト、昨年のセルテートでの新旧巻き上げ比較と比べると、その差は小さいように感じました。
あくまで個人内での印象なので、参考程度にして下さい^^;
最後に、日本製から海外生産にシフトするの?という話については、「まだ決定事項ではないんですけど・・・」とブースの方は話されていました。
中国生産になる予定という話もありますが、新型コロナウイルスのこともありメーカーの方もなかなか読みきれないといったところなのかもしれませんね^^;
今回は新しい“20ルビアス”についてかなりたくさん書いてしまいましたが、「リールの構造なんか別に興味ないよ」という方はサラリと流して頂けますと幸いです(笑)
私もかなり注目しているリールですので、今後たくさんの方が使いこんだ後、どんな評価が下されるのかを楽しみにしましょう^^
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Posted by T.A.K.U. at 00:53│Comments(2)
│タックル
この記事へのコメント
コメント失礼します、ルビ予約したんですけどネットを漁ってもエンジンプレートの話は出てきてもセットプレートの材質を書いてる物は無かったのでこちらの情報は非常にありがたかったです、ありがとうございました。 右巻きなんで剛性的にちょっと不安要素でして、、、
Posted by やすお at 2020年02月15日 01:44
やすお さん
コメントありがとうございます。
20ルビアスのセットプレートのことを気にしておられる方がいらっしゃるって良かったです^^
記事を書きながらも、これを知りたい人はいるのかな?と思いながら書いていましたので(笑)
どういう釣りをなさるのかや、どれくらいの釣行ペースかにもよりますが、ドライブギアの左はエンジンプレートで、右側はザイオンのボディ穴に直接はめこまれたBBで支持されているので、普通に使っていれば問題は出ないと思いますよ^^
コメントありがとうございます。
20ルビアスのセットプレートのことを気にしておられる方がいらっしゃるって良かったです^^
記事を書きながらも、これを知りたい人はいるのかな?と思いながら書いていましたので(笑)
どういう釣りをなさるのかや、どれくらいの釣行ペースかにもよりますが、ドライブギアの左はエンジンプレートで、右側はザイオンのボディ穴に直接はめこまれたBBで支持されているので、普通に使っていれば問題は出ないと思いますよ^^
Posted by T.A.K.U.
at 2020年02月15日 02:46
