“産まれ来る命”と“去り行く命”

T.A.K.U.

2016年12月17日 20:48

私事ではありますが、12月15日に三男が産まれました。
釣行のペースは下がってしまうことになりそうですが、新しい命の誕生というのはやはり素晴らしいものですね。

それはさておき、この世の当たり前のことですが、“産まれ来る命”もあれば、“去り行く命”もあります。
12月14日に、あの有名なルアーデザイナーの楠ノ瀬直樹さんが亡くなられたそうです・・・

実は楠ノ瀬直樹さんとは、以前にお会いしたことがあります。
私が中学生だった頃なので、25年程も前の昔話になりますが、今日はそのことを記事にしたいと思います。

当時バスプロとしてトーナメントでも活躍されており、私の憧れの人だったのですが、何と大阪のとある“釣具兼アウトドアショップ”でセミナーが開催されるということを知りました。
何が何でも参加したかった私は、その日の習い事をサボってセミナーに参加しました。

鶴見区の今福という場所にあったそのショップは、釣り具だけでなくアウトドアに関する様々な商品が並べられており、本当にワクワクする空間でした。
そんな店で、憧れの楠ノ瀬さんの話が聞けるというので私のテンションはMAX。
セミナーの参加者は数人だったように思いますが、子どもの参加者は私だけで、しかもノートを片手にメモをとりまくっていたものだから、それを見た楠ノ瀬さんから「君は熱心だねぇ」と半分笑いながら声をかけて頂いたのを覚えています。

シルバーミノー(今やその存在を知っている人も少なそうですが、ミノーではなくスプーンです)を使ったテクニックや、彼の恐ろしいまでのルアーに対するこだわりは、少年の私を惹きつけました。
セミナーの最後には色々と質問もさせて貰い、そんな夢のような時間の最後に、楠ノ瀬さんからご自身でチューニングされたスピナーベイトを手渡されたのです。

スピナーベイトに革命を起こしたとも言われる、あの“スタンレーのバイブラシャフト”(これも知らない人が多いと思いますが・・・)ですが、あれほど完成度の高かったルアーをさらにチューニングしたものです。
もう飛び上がるほどに嬉しくて、帰りの電車の中でかばんを開けて何度も見たのを今でも覚えています。
私はルアーに対してかなりこだわりがある方だと自分でも思いますが、それは楠ノ瀬さんとの出会いが影響していることは間違いありません。

彼はその後トーナメントの一線から退きましたが、ルアーデザイナーとしても活躍され、今のルアー業界には無くてはならない人でした。
私が長年尊敬してやまないアングラーの一人であった方が、56歳という若さでこの世を去ってしまわれたのは残念でなりません。

いつの日か“思い出のスピナーベイト”を持って、著書にサインを貰おうと思っていたのですが、それも叶わぬ夢となりました。

最後になりますが、楠ノ瀬さんがセミナーをされた“釣具兼アウトドアショップ”というのが、今は無くなってしまった“ナチュラムの実店舗”でした。
当時はインターネットというものも無かったので、将来こんなネットショップになって、しかもそこで自分がブログを書くことになるとは思ってもいませんでしたが、これも何かの縁だったのかもしれませんね・・・

新しく誕生したわが息子にも、将来このような素晴らしい人との出会いがあることを、切に願いたいと思います。
楠ノ瀬直樹さんのご冥福を心よりお祈りしております。


あなたにおススメの記事
関連記事